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偽太夫夫問題 その二

偽太夫夫問題 その二_f0347663_12031710.jpg
最近祇園で変身舞妓さんを見つけた海外の方が、嬉々としてこれを取り囲むように写真を撮り、又変身舞妓さんの方も意を得たとばかり、時には一緒ににこやかに画像に収まったりするのを見かけます。

私は何分心の狭い男なので、これを、仄々とした、微笑ましい光景と捕らえる事が出来ないのです。

又、少しでは有りますものの、花街とお付き合いがあり、日頃舞妓さんに接しておりますので、どうしても、「これがあの有名な京都の舞妓さん」と海外の方が誤った認識をもつ事に、忸怩たる思いを持ってしまうのです。

これと同じことが島原太夫にも言えると思います。

京都で、お茶屋、置屋をする場合、お茶屋の鑑札が必要となります。(以前はお茶屋を第一種貸座敷、第二小方屋などと分類分けをしました。)この鑑札は一種類で、置屋をする場合でもお茶屋の鑑札が入用です。

明治六年十一月の(京都)府史政治部勧業類の遊所記事の一部を抜粋しますと、

「遊女、芸者共本人真意より稼方願出し候分は指し許尤、都度々々本人又は親族共へ告諭の末、尚常態取糺し、区戸長共より、誠実取調書をも為出し、鑑札下け渡候事」

この状態は長く続き、芸妓鑑札、娼妓鑑札、両方兼ねる二枚鑑札なるものもありました。

この様に、以前はお茶屋以外、芸妓も鑑札を持つ必要がありましたが、現在芸妓の鑑札はありませんので、たとえば芸妓さんが一本になりお茶屋、置屋を始めるにはお茶屋の鑑札をとる必要があります。

つまり、芸、舞妓、太夫とも、お茶屋の鑑札の元、そのお茶屋の主人の采配を受け、芸妓、舞妓、太夫として座敷に入るか、もしくは独立する場合は新たに鑑札を入手する必要があるのです、

お茶屋は風俗営業として分類されている為、既得のお茶屋は三年に一度の講習を義務付けられるぐらい、既得権として、よっぽどの事でもない限り続けることが出来ます。

しかし乍、新たに鑑札を取る場合は、警察の生活安全課に赴き、座敷の広さ、明るさ、窓から中が見えない作り・・・など色んな条件をクリアーせねばならず、その投資もせねばなりません。

鑑札無しで置屋を始められるなら、私でも、変身舞妓を使って来月からでも、お茶屋、置屋を堂々とできるはずです。

ただし、これらの事は、殆ど表に出ません。私も色々調べて最近やっと理解が出来たのを隠すつもりは有りません。

こういう私も以前、本物とはいえない人を、知識がない故、島原太夫さんの様に扱って当ブログに載せていますので、偉い事はいえないのです。

ただ、今のところそれらの画像を消去する気はありません。

自らの不明を晒すために・・・





by gionchoubu | 2017-06-13 12:04 | 島原遊郭 | Comments(6)

温泉芸者一代記

温泉芸者一代記_f0347663_12382655.jpg

1979年、井田真木子著『温泉芸者一代記』は、深川に生まれ、十七歳で湯河原温泉に八百円で売られ、客をとらされながら、三味線一筋の名妓となった、当時八十二歳のおかめさんの生涯録です。

小学校の時、家庭の事情があり、子供心に「だから、自分の口を食わせられるだけの仕事をぜひ持ちたいと思いました。あたくしね、髪結さんか、お産婆さんになるつもりでしたの。当時は、そのくらいしか女のできる仕事てものがなかったんでございます。」

義父は最初、彼女を磯子の花柳界に売る手筈でいたそうです。

ところが当時芸妓の鑑札申請には、未成年者が勝手に売らされぬ様、法廷代理人(実親など)の連署など細かい規定があり、これを満たせぬ彼女は遊芸の鑑札(寄席芸人、太鼓持ち、新内流し、小唄師匠等)で湯河原の芸妓になりました。

著者の井田真紀子さんは、人材が集まりにくい地方の温泉場などで、こういった名目で多くの年季奉公の未成年者を集める例はままあったのではないか、と書いておられます。

おかめさんが売られた赤ペン(ペン店は湯河原の芸妓置屋を兼ねた特殊飲食店)
には酌婦と芸妓がそれぞれ七、八人住み込んでいた。客を常時とるのは酌婦だが、おかめさんの様に年季で売られた芸妓も年季中は随時客をとらされました。

全国の温泉街に於いて、道後や別府などの公許の遊廓が併設されていたのは例外中の例外で、多くの温泉地では、客をとらされるのは酌婦という名目の私娼、もしくは温泉芸者だったのです。

その中で、「湯河原のペン街に、若いけれども芸熱心なおかめという芸者がいる」と評判になり、のちに東京にも稽古に出かけ、日本橋や新富町の一流の芸者衆
に混じっておかめは自分の三味線芸を高めて行きました。

「いい芸者てのは、まず容姿端麗でございましょ。その次に頭のよさ。座敷で話をさせても面白い。機転が利く。そういった頭のよさ。座敷で話をさせても面白い。機転が利く。そういった頭のよさ。そして、最後に芸でございますね。これが三拍子揃えば、立派な芸者です。どこい出しても恥ずかしくない。

でもさ、なかなか、そうは揃わない。だから、あたくしなんざ、こうやって芸だけを頼りに、山猿で、へへ、、一生おわりますのよ

だけどさ、芸てのはこんなふうに奥が深いから。いくらやっても、これで終わりってことになんないから、あたくし、山猿芸者でございますけど、あといくらかでも生きて、いくらかでも生きてるうちに、三味線をもっと弾きたい。そういう気になるんです。

ね、あんた。だから、あたくしは死ねないんですよ。三味線があるから、あたしは、死ねないんですよ」

難しい言葉はひとつも出てきませんが、男の人が頭で考えた芸者論と違い、人の心にぐいぐい食い込んできます。



by gionchoubu | 2016-01-12 12:44 | 遊郭・花街あれこれ | Comments(0)