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花街あれこれ *このブログに掲載されている写真・画像を無断で使用することを禁じます。


by gionchoubu

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近江鏡宿の傀儡女と源頼朝

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                                 鏡神社

平安時代に京と東国を結ぶ東山道の宿駅には、宿泊者に売色する傀儡女がいました。江戸期に於ける宿場女郎より遥か昔です。その中でも美濃の青墓と野上は交通の拠点で多くの傀儡女が群がりました。

源頼朝はこの青墓の遊君延寿と馴染みました。この游君こそ傀儡女という事でしょう。橋本宿(遠江の国、今の静岡県の新居町辺りで京阪の橋本ではありません)の游君に建久六年三月、頼朝が

「橋本の君に何かを渡すべき」というと梶原平三景時が「ただ杣山のくれであらばや」とつけたという話があります。

わざわざ遊女である傀儡女に頼朝が気を使ったのは、傀儡が芸能集団でもあったから故と思います。大江匡房『傀儡子記』に傀儡子の芸能に、今様、古川様、足柄、片下(かたおろし)、催馬楽(さいばら)、黒烏子、田歌、神歌、棹歌、辻歌、満固、風俗(ふぞく)、咒師(ずし)、別法等があり、その芸能の幅がうかがい知れます。

さて、この東山道、現在の滋賀県、竜王町に鏡宿があり、ここも往還の武士や旅人に利用される事が多く交通の要所でした。

正応二年(1289)年、当地に宿泊した「とはずがたり」の作者後深草院二条は遊女で賑う当宿の光景を書き留めています。

鴨長明の無名抄によれば、ふけの入道(関白忠実)に、俊頼朝臣候ける日、かゞみのくゞつども参りて、歌つかふまつりけるに、かみ(神)歌とないて・・・傀儡が身分の高い人達と芸能面で関わりあったことが分かります。

平治元(1159)年守山宿で同宿の沙汰人、源内真弘を斬った頼朝は鏡の宿の所で、平治の乱に敗れた源義朝に追いついた記録や、建久六(1195)年にも頼朝は上洛の途次鏡宿に宿陣しています。

頼朝が芸能面や遊女として鏡宿の傀儡子、傀儡女と関係を持たなかったと想像するのは難しいと思います。

鏡神社は義経がこの地の白木屋で元服し、源氏の再興と武軍長久を祈願したといわれ、これにちなみ、義経を偲ぶ「とがらい祭り」
という神事が毎年この地で行われ、子供達が鉦と太鼓を打ち鳴らし「とがらい、まあがらい・・・」と里内を練り歩くとのことです。

もし見ることができれば、その遠くに傀儡氏の姿が感じられるかもしれません。

『滋賀県の地名』平凡社、『遊行女婦・遊女・傀儡女』滝川政次郎

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by gionchoubu | 2020-11-25 17:21 | 亡くなった滋賀の遊郭 | Comments(0)