奈良 小綱村 新屋敷

延宝六(1678)年刊『色道大鏡』の日本遊廓総目の25箇所に、京の島原、大阪の瓢箪町、江戸の三谷、奈良の木辻と並び大和国、小綱、新屋敷が載ります。その記述を現代文にすると、

「ここの傾城は寛永年中(1629~1634)には八木村にあり、これを高橋といいました。その後中絶しましたが、大阪の傾城長に了賀、長左衛門という物が八木村に近い小綱村（しょうこうむら）の新地を一反七畝開いて再興しました。明暦元(1655)年の九月より家を建て始め、翌年二月に遊女を移しました。この遊廓を新屋敷と言いました。

この路は初瀬街道で、茶店と四軒の揚屋があり賑わいを見せたものの、二回火事に会い、もう家を建てる余力もなく、万治元(1658)年の春より大阪に退きました。

その後、奈良や伏見の業者が進出しようとしましたが、うまく運ばずその年に悉く立ち退いて、その後は無くなってしまいました。」

小鋼村は、八木村の東、初瀬街道の街村で、矢継街道（太子道）が交差した交通の要所で今から想像できない賑わいを見せたようです。