尼崎 難波新天地

戦後、尼崎にできた特飲街の内、現在のかんなみ新地あたりのパーク街と浮世小路、今ラブホ街の難波（なにわ）新地、又、スナック街として営業を続ける杭瀬と私なりにその場所を特定できたのですが、どうしても分からないのが難波新天地です。

なにしろ、地元の公的な立場におられ、一番知りうる立場の方が過去調べたが分からず、勿論無理ですが、警察所の倉庫に行くしかないのでは？と、おっしゃったので、私にとっても御手上げです。

昭和２８年の神戸新聞で【難波新天地】五千坪の土地を大陸引揚者と称する酒井由平氏が購入。建築許可をとり、現在三十四戸が営業を行い、表向きはカフェー営業を行い、表向きはカフェー営業、業者は戦災六、引揚九、その他二十戸で働く女性の月収は一万二千円から二万円止まり～略～一ヶ月の客数は五、五六五人で酒だけのものが、四、０四０人、漁色目的が一、五二五人、とありました。

これまで、昭和32年の住宅地図に載るスタンド街をたよりに、尼崎の特飲街をみてきました。実を言いますと、上記の四か所を含め、

一番スタンドが多かったのが、阪神尼崎駅の西の商店街の地区で、線路の北側に30軒ほど、南にも4軒の名が見えます。又、キャバレーも百万弗、ナナエ、銀嶺、ミス東京、メトロ、新興、駅馬車、春美と密集。

私はこの場所こそ難波新天地の可能性が高いと考えています。

矢張り当時の新聞に、「この中央商店街の西半分が純商店街、東へ中央グラウンドまではキャバレー、サロン、小料理屋などいわゆる夜の商店街、映画館、パチンコ屋、スタンドなど男のむほん心をそそるあらゆる条件が備えられている」とあります。ただし新天地の言葉はどこにもありませんでした。

昭和30年７月15日の神戸新聞では「尼崎市内中心部から特飲街を一掃しよう」との世論を反映して特飲街関係者が自主的に“神崎”“初島”を建設し、新天地の三十八軒の内十五、六軒が移転、残っている業者は連日の売春取り締まりで商売は上がったりとの事、それでも移転を躊躇うのは、何といってもその土地の利便性と圧倒的な集客力、神崎、初島移転は島流しぐらいの感覚であったと思います。