綾部、月見町ぞめき その三

冊子「丹の国」でも格子の写真が使用されました。

月見町の舞の流派は花柳流で、島原から三味線の師匠である芳菊冶師匠がこの北丹の花街の指導に当たっていたとのこと、いまでも月見町の芸妓として島原の輪違屋さんに訪れる機会があるそうです。

さて、前回の続き、バーボーンさんの隣は現在欧風割烹松乃實さんで、昭和四十八年の住宅地図には、その隣の現駐車場にお茶屋大光楼の名があります。

一軒おいて居酒屋まつりさんがありますが、ここはお茶屋三松の跡です、そのお隣に現在トパーズさんがあり、そのお隣がお茶屋出雲さん。今でも情緒たっぷりの姿を拝見できます。

小道をはさんで、空き地があり、そこは嘗て、お茶屋三田屋（さんだや）が建っていたはずです。そのお隣に紅殻の色がのこる立派なお宅があり、お茶屋大勝さんを偲ぶことができます。

その他、月見町には置屋、お茶屋を兼ねた三福さんが有ったことも確認できました。

（＊以上間違えがあれば、総て責任はこのブログを書いている私にあります。）

以前このブログに花街、遊廓の類型として、企業城下町型を示唆し、蚕都（さんと）綾部が生んだグンゼがそれに当るかも知れないと書きました。確かにグンゼは月見町の大顧客であったはずですが、今は一つの企業が支えたのでなく、綾部の場合グンゼを生んだ蚕産業が花街を育んだ、つまり地場産業型花街を類型の一つとして考えています。

＊『京都年間』の昭和三十四年に綾部お茶屋組合、お茶屋十八、芸妓二十一、またs昭和三十八年版に竹内つや、芸妓十七と見えます。（２０１６，３月７日付記）

昭和五十五（１９８０）年、『綾部商工名鑑』によれば、この年お茶屋として三芳、あら木、松葉、逢初、いづもが登録されており、平成八（１９９６）年の『綾部商工会議所会員名簿』にお茶屋逢初が月見町最後のお茶屋が載ります。

少なくとも平成八年には綾部月見町に花街が存在したことになります。

北丹の花街、峰山、宮津新浜、福知山猪崎、綾部月見町、舞鶴の朝代、加津良、竜宮の中で最後まで花街の灯火を守ったのは、綾部の月見町だったのです。

全く想像だにしていなかった事ですが、綾部、月見町に娼妓（公娼）さんがいらっしゃった事がわかりました。その件につきましては別の機会に述べさせて頂きます。


綾部おどり（甚句）佐藤紫雲、作詞

綾部　コラショ　よいとこ蚕の都
　ヤシコト　ヤシコト　ヤシトコセ

繭に黄金の花が咲く
　ヤシコト　ヤシコト　ヤシトコセ

郡是神栄でくり出す生糸
　　広い世界と手をつなぐ

見たか大本あのみろく殿
　　銅のお屋根に雲がとぶ

綾部名物菊人形に
　　人のうず巻く紫水園

世界平和のいのりをこめて
　　仰ぐ綾部の平和塔

山家公園お城の名残
　　花と紅葉が人を呼ぶ

西に東にのび行く綾部
　　丹後都の花あかり

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いづもさん
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まつりさん