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花街あれこれ *このブログに掲載されている写真・画像を無断で使用することを禁じます。


by gionchoubu

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全国遊廓案内の信頼性_f0347663_15381254.jpg
                                飛田遊郭、鯛よし百番

今回は『全国遊廓案内』と『公娼と私娼』を比べてみます。
府県、遊廓、貸座敷数、娼妓数で( )内の方が『公娼と私娼』の数字です。

東京   新吉原   295(295)  3560(2557)  
     千住     53(50)    330(316)
     洲崎    268(286) 約2500(2329)
     品川     43(43)    400(422)
     新宿     53(53)   約560(559)
     板橋     12(12)     98(92)
     八王子    14(14)   約100(103)
     府中      5 (5)     25(30)
     調布      3 (3)     21(18)  
     父島      1 (1)      3(2)

東京、新吉原の娼妓数以外ほぼ近似値、貸座敷数は同じの所が多いのが分かります。

京都   上七軒     -(40)      -(0)
     北新地     -(151)     -(681)
     祇園甲部  230(449)    30(39)
     祇園乙部    -(227)     -(236)
     宮川町   151(418)   330(341)
     島原    148(146)   434(483)
     先斗町     -(194)     -(15)
     七条新地    -(237)     -(1340)
     中書島    84(104)  約400(366)
     北恵比須   20(17)    約70(72)
     橋本     75(79)    470(493)
     朝代      -(55)      -(75)
     加津良     -(20)      -(18)
     猪崎     78(78)    160(157)
     龍宮     29(31)     80(103)
     新浜     59(59)     84(76)

-は収録されなかった遊廓、京都随一の七条新地が収録されないのは『全国遊廓案内』に於ける大きな謎です。祇園甲部や宮川町の貸座敷数の数が離れているのは芸妓のみの貸座敷が外れているのだと思います。

大阪   新町    183(212)   550(568)
     堀江    155(156)    43(33)
     松島    260(257) 約3700(3657)
     五花街   499(499)   831(807)
     飛田    202(215)  2700(2646)
     龍神     数十(107)  約100(5)
     榮橋     60(60)   約540(581)
     乳守     40(39)    400(3)
     貝塚     43(43)    270(269)
     枚方     35(35)    110(108)

竜神、栄橋、乳守は共に堺の遊廓です。昭和八年発行の『郷土研究上方』で山本梅史が「堺の遊廓」の一文を寄せ、

龍神、貸座敷100、芸妓400、娼妓20.
榮橋、貸座敷60、娼妓600、
乳守、貸座敷40、芸妓100、娼妓5の数字を揚げており、

『日本遊里史』でも

龍神、貸座敷106、娼妓18
榮橋、貸座敷64、娼妓647
乳守、貸座敷36、娼妓6

つまり『公娼と私娼』『郷土芸能上方』『日本遊里史』が同じ傾向を示しております。堺の遊廓は『全国遊廓案内』の記述が間違いと断定できそうです。

さて、先にすすむと、

神奈川  真金町    59(70)   約500(526)
     永楽町     -(記述なし)    -(記述なし)
     青木町    23(17)    170(105)
     川崎町    19(19)   約190(189)
     保土ヶ谷町   7(7)      50(49)  
     横須賀    26(28)  150以上(187)
     浦賀町     2(2)     7,8(11)
     三崎町     5(5)      44(48)
     戸塚町     -(4)       -(19)
     藤沢町    10(10)     50(53)
     平塚町    12(12)    120(128)
     大磯町     3(3)       8(6)
     小田原町    6(7)      50(53)
     吉野町     3(3)      13(16)

兵庫   福原町    93(93)   1320(1329)
     新川     22(22)   約200(294)
     浦町(西宮) 38(38)   約350(334)
     新地(明石) 14(14)    130(127)
     梅ケ枝    11(10)     96(90)
     飾磨     10(10)    約60(63)
     高砂      5(5)      64(55)
      室津      3(3)      30(32)
     漁師町(洲本)19(20)   約100(81)
     池上(篠山)  2(12)    110(68)

篠山の貸座敷の2は明らかにおかしい数字です。娼妓が110いるので筆者が校正でも見落としたのでしょう。

長崎   寄合町・丸山町 22(18)   約200(203)
     出雲町      9(10)     85(68)
     戸町      16(12)    180(136)
     稲佐      14(14)    115(131)
     福田       -(8)       -(27)
     勝富(佐世保) 16(16)   約150(114)
     花園(佐世保) 47(46)    340(363) 
     田子の浦(早岐町)4(4)      30(37)
     瀬戸村(板の浦) -(2)       -(4)
    *瀬戸村(樫の浦) -(14)      -(45)
     釜の裏      -(10)      -(39)  
     蠣の浦      -(18)      -(104)
     面高村      -(2)       -(7)
     椛島村      -(3)       -(2)
     湊町(島原)  11(10)   約100(23)
     都ノ口村     -(2)       -(2)
     宇田助      -(7)       -(10)
     大島村(平戸?) -(3)       -(5)
     水主町      -(3)       -(14)
     立亀       -(4)       -(32)
     雞知村      -(4)       -(8)
     船越       -(1)       -(2)
     田の平(大村)  9(7)     約70(63)

長崎に目だって略された遊廓が多いのは一目瞭然です。島原の娼妓数が大きく離れている以外はほぼ納得のいく数字です。

新潟   下町      94(75)   約500(465)
     新発田町    19(19)    118(122)
     中条町     12(13)     51(55)
     坂の下(津川)  5(5)      35(21)
     八幡町(五泉町)14(14)     27(26)
     曙町       -(4)       -(12)
     橋向(新津)   6(12)     60(26)
     五の町(三条町)44(44)    約60(57)
     文冶町      -(33)      -(132)
     畑中(小千谷)  7(7)      22(16)
     間(出雲崎)  10(8)     約80(10)
     山の上(寺泊)  5(5)      10(9)
     海岸通(柏崎) 20(20)    約60(52)
     塩屋新田     -(7)       -(33)
     五分一(高田) 19(19)   約130(141)
     浜町       -(6)       -(14)
     二見村      3(3)      約6(7)
     水金町      -(8)       -(14)
     両津(夷町)   7(7)      40位(25)
     両津(湊町) 記述無(6)      記述無(41)
  

埼玉   本庄町    記述無(7)      記述無(39)
     深谷町    約10(3)      酌婦70(9)

千葉   登戸(千葉市)約10(11)      80位(75)
     船橋町     19(19)      112(93)
     平潟(松戸)  13(12)      115(93)
     佐倉弥勒町    1(1)        約8(4)
     松岸(銚子町)  2(1)       40位(37)
     木更津町     4(4)       記述無(24)


全体的に『全国遊廓案内』の数字と( )内の内務省調査の数字は大変似かよっており、調査年数に二、三年の誤差があると考えると『全国遊廓案内』は信頼に足る手引書でありました。

新吉原の娼妓数などいくつか( )内と大きく離れた数字は有るのは、逆にそれが公的な数字に頼って居ない証拠となります。時代そして当時の情報源を考えると、民間の人間がよくまあここまで調べ上げた・・・と私などは心から『全国遊廓案内』の著者に対し驚嘆の念を禁じ得ません。

そして新聞記者か雑誌のライターの経験を持つ人なのか、言葉を選びながら的確な文字運びは相当文章を書き慣れた人物のはずです。時々テンポ良く挟まれる「台の物は別だ」などの言葉が心地よく響き、著者に語りかけられているような錯覚すら持ち得ます。

かなりの頻度で用いられるその土地の民謡も、現在の紹介本で言えば、写真かイラスト替わりの役割、読者を一服させ、望郷の念、ちょっと遠くを見るような気持にさせてくれるのです。

又、娼妓本位、芸妓本位、特別祝儀などの言葉の使い方にも長けた人物像がほのかに浮かび上がってきます。

さらに、遊廓でもなく娼妓も一人も居ない北陸の粟津温泉にスペースを割き、珍しく語り口調が変わり、著者のこの温泉に対する思い入れを思わず吐露・・・私にとって興味が尽きないのがこの佐藤丘巣の『全国遊廓案内』なのです。


by gionchoubu | 2015-12-17 15:39 | 遊郭・花街あれこれ | Comments(0)