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花街あれこれ *このブログに掲載されている写真・画像を無断で使用することを禁じます。


by gionchoubu

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祇園ねりもの 四十三

祇園ねりもの 四十三_f0347663_12013326.jpg
                  昭和三十五年のねりもの番付(東お茶屋組合所蔵)
祇園ねりもの 四十三_f0347663_12033351.jpg
                           弁慶


昭和十一年七月十日の番付は『祇園会ねり物復興記念帖』として当日非売品として発行されたもので、本誌の中の白、黒にもう一色だけの縮小版と、袋とじに入った、版木と原寸と同じに印刷された物の二枚があります。

過去のねりものでは、絵番付に作者の名が確認できるのが基本なのですが、この昭和十一年の番付には、この度、私が祇園東御茶屋組合に保管されていた六枚の版木から、竹笹堂さんに依頼して二枚刷り直してもらったものにも、復興記念帖にも作者の名が有りません。

版木自体も、立命館アートリサーチセンターの金子准教授(六枚の版木をデータ化していただき、研究材料として保管されています)や竹笹堂さんに調べてもらったのですがヒントとなるような痕跡はありませんでした。

名を記さなかった理由は分からないのですが、先ず状況から考えて、作者は二人に絞られます。それは衣装の考案から注文まで、総てをこなし、日本画家で、版画家であり、風俗研究家であった吉川観方か、彼の弟子であり、矢張り日本画家で、風俗研究を引き継いだ河村長観です。

河村長観は京都美容文化倶楽部が発行している『日本の髪型』のまえがきに「頭上に結い上げる美しい髪型、古墳時代より現代に至る種々の結髪様式は、江戸時代においては百五十種にものぼったと言われています。その土台を成すところは前髪、鬢、髱、髷など四つです。髪をどの様に束ね、どのようにして、あんな美しい髪型になるのか分からなかったのですが、幸いに私は昭和四年から吉川観方先生について絵を習っておりましたので、先生が主宰されていた故実研究会で写生が必ず毎月ありました。」と書いております。

祇園東御茶屋組合に保管されている昭和三十五年の番付は、緑江叢書の「祇園祭りねりもの下」の表紙の写真とほぼ同じで、違う所は画の下方の余白に賛助として、

アケゴコロ 有井酒造株式会社   
都鶴 都鶴酒造株式会社
タカラビール 宝酒造株式会社
英勳 齊藤貞一郎酒造
招徳 共栄酒造株式会社
旭鷹 大和酒造株式会社
神聖 株式会社山本本家
冨久宝 津村酒造株式会社
月桂冠 大倉酒造株式会社
仙界 北川仙治郎商店
名誉冠 株式会社山本辰右衛門商店
富翁 株式会社北川本家と酒造元が並び、最後に井筒八ツ橋、京都高島屋の名が入る事です。

長観画と記されているので、昭和三十五年の番付が河村長観の作であるのは明白です。

そして問題の昭和十一年の番付ですが、『昭和十一年子のとし祇園神輿洗い祢り物絵容』版木を起こす前に描かれたと思える画が京都府立史料館に保管されています。

版元は京縄手新門前故実研究会で観方、長観画とあり、素人目に見ても十二組の練り子の内、吉原の花魁、弁慶、暫の三組のタッチが明らかに違い、しかもその中で弁慶の表情、ポーズ、体型、表情が昭和三十五年のものとよく似ております。

言葉で表現すると、長観の画風は輪郭が太く、角が際立ち、荒々しい男性的なタッチで、残り九組が繊細で表情も丸みを帯びた女性的なそれで、引き算でこれが観方の画ということになります。

ですから、花魁、弁慶、暫も他の九組と同じタッチで描かれた昭和十一年の番付は吉川観方さんの作であると私が考えている理由です。

尚、観方、長観共作の絵容には練物の予定日を七月十日夜、雨天ならば二十八日で本編には無い予備日を設けていた事、静御前が下段でなく上段であること、先囃子、後囃子が屋台とも描かれていない事など興味は尽きません。
祇園ねりもの 四十三_f0347663_12070705.jpg
                    祇園会ねり物復興記念帖

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                      そして蘇った刷り

by gionchoubu | 2015-07-03 12:10 | ねりもの | Comments(0)